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米不足を回避、カギは沖縄の「お中元文化」支えるプライド 台風見据え「落ち着いた購買を」<りゅうちゃんねる>


米不足を回避、カギは沖縄の「お中元文化」支えるプライド 台風見据え「落ち着いた購買を」<りゅうちゃんねる> 県外の品薄をよそに県内スーパーでいつも通り販売される米=2日、那覇市内
この記事を書いた人 Avatar photo 新垣 若菜

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“令和の米騒動” 沖縄は無縁から続く>>

 コメを確保しようと県内卸業者が動いた背景にあるのは、贈り物としてコメが選ばれることの多い沖縄のお中元文化だ。

 夏ギフトの主力がコメというのは独特の傾向だという。「お中元時に切らすわけにはいかない。県内卸のプライドがありますから」とある担当者は胸を張った。産地にも偏りがなく、北海道から九州まで取引があることも旺盛な仕入意向にはプラスだった。 

 全国的なコメ不足は、2023年産米の不作に加え、南海トラフなどの大規模地震や台風といった災害に備えた買いだめのほか、今年6月に単月として過去最高を記録した訪日客の消費量の伸びなど複合的な要因も重なったとされる。

 品薄だけでなく、価格高騰も全国的な状況だ。仕入れ値が上がる中、買い増してきた県内業者の取り扱い分も、分量は十分でも販売価格は値上がりしている。

商業施設に設置されたお中元の特設コーナー=2024年6月末

「余分に買わないで」とは…

 一方で、企業努力では補えない懸念もある。

 どの業者からも聞こえてきたのは「台風がとても心配」との声だ。全国的な品薄の流通状況で県外からの物流が止まると、在庫が払底する可能性は拭えないという。新米が並び始める9月末ごろまで、例年ならば各社の備蓄分で賄えたというが、どの県内卸も例年に比べ備蓄量は減っている。「毎年ならこの時期、3カ月分はある。今は1カ月分」「もう枯渇手前」という反応もあった。

 売り上げがピークとなるお盆の後には購買量が落ち着くが、今年はそのままの購買量が続いている状況もある。担当者の一人は「県外へ送ったり、県内でも買いだめが始まったりがあるのかもしれません」と見通した。

 「普通に購買していただければ、新米が出てくるまで足りるんですが…。余分に買わないでなんてなかなか言えません」との本音も漏れる。別の卸業者の担当も「一部ブランド米は品薄だが、ほかならまだ残っている。どうにかいつも通りの買い方をしてほしい」と訴えた。 

(新垣若菜)

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