<金口木舌>「今帰仁村らしさ」受け継ぐ


<金口木舌>「今帰仁村らしさ」受け継ぐ
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 今帰仁村の玉城字誌掲載の「玉城小唄」。作曲は、西武門節の作者でも知られる琉球古典音楽家の川田松夫さん。3番の歌詞はこう始まる

▼「ソーリ川(ガー)の水や 岩かみて湧つい」。地区内のソーリガーからこんこんと湧く水の豊かさを描写した。現在は水草が張りひっそりとした場所。伝承によると、昔は冬でも温かな水に稲をつけ、発芽させた。多くの人が利用したという

▼ソーリガー周辺を含め、公共施設が集中するエリアが生まれ変わろうとしている。村が「北山文化圏センター」の再整備に動き出した。ソーリガーは人々が集う親水空間へと生まれ変わる計画だ

▼整備計画の核は象設計集団と、そのグループが設計し、1975年に建設された中央公民館の保存と継承。駐車場の整備など住民が使いやすくなるよう姿を変えつつも、村は文化的な価値がある中央公民館は残す選択をした

▼77年に策定された村の「くらしの基本計画」には、にぎわう中央公民館の利用像が描かれている。再整備計画の利用像は行政と村民が話し合って描く方針。過度な開発に頼らない「今帰仁らしさ」は次世代へと受け継がれていくだろう。