内閣府は30日、2025年度沖縄関係予算を2820億円とする概算要求を財務省に提出した。県が求めていた「3千億円台」には届かず、一括交付金も要望額の確保とはならなかった。県がソフト交付金で行ってきた事業が新規事業化されたことで、12月の予算策定では「(財務省は)一括交付金の総額を落としてもいいと言うかもしれない。ソフト交付金の規模が見通せず、県の予算編成も難しくなる」(県幹部)と警戒する声もある。一方、政府関係者からは予算獲得に向けた県の「当事者意識の希薄さ」を指摘する声が漏れ聞こえる。
8月6日、玉城デニー知事は内閣府などを訪れ、25年度沖縄関係予算の概算要求について「総額3千億円台」を求めるよう要請した。自見英子沖縄担当相との面会では「新・沖縄21世紀ビジョン基本計画に掲げる政策の着実な展開を図るため、県および市町村の切実な要望である一括交付金の増額を始めとした、振興予算の確保が必要」と訴えた。
しかし県は要請前までに「3197億円プラス国土強靱化関連」が必要だとする試算をまとめていたにも関わらず、要請では「3千億円台」として概数にとどめ、詳細な金額は提示しなかった。内閣府側からは「予算の獲得には財務省を納得させるための根拠の積み重ねが必要だが、十分とは言えない。要求額も現実的とは言い難い」「予算獲得はこちら側(内閣府)だけの仕事だと思っていないか」と指摘する声があった。
沖縄は他県と違い、沖縄戦やその後の米国統治によって全国との経済格差が開いたことなどから、予算の取りまとめは内閣府が代行して各省庁と交渉する「一括計上」の方法が採られている。しかし基地問題に対する県政のスタンスによって政権の意向が反映されてきたこともあり、見直しの必要性も指摘されている。
県選出の与党国会議員の一人は「県の予算交渉能力はどんどん低下している。そこの改善をしないまま要望だけを主張するのは甘すぎる」と突き放す。県が目指す「新・沖縄21世紀ビジョン基本計画」の実現に向けても県の「本気度」が試される。
(嘉数陽、石井恵理菜)