「寄り添う」大切さ、強く感じる 戦後70年に平和の詩朗読、知念さん①


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 平和への願いや反戦の思いは、若い世代に引き継がれている。沖縄戦体験者の思いを受け止め、過去の沖縄全戦没者追悼式で自作の詩を力強く朗読した若者がいる。皆が笑い合える社会を望む気持ちを、詩に込めた児童がいる。沖縄戦から75年がたった。明るい将来を願う3人に話を聞いた。

慰霊の日を前に沖縄の心の継承について話す知念捷さん=21日、琉球新報社東京支社

 戦後70年の沖縄戦没者追悼式で平和の詩を読んで5年。詩に込めた「寄り添う」ことの大切さを、知念捷(まさる)さん(22)=東京都=は今、さらに強く感じている。「戦争体験者が亡くなり、今後さらに体験を聞けなくなる。学校の平和教育だけでなく、家庭やいろいろな場面で戦争や平和について考えるきっかけづくりが大事だ」と、平和への思いの継承を模索する。

 現在、東京の大学に通う4年生だ。東京では慰霊の日が知られていないことを知る一方で、沖縄では当たり前の海や独自の文化などを改めて見直した。「沖縄の文化、沖縄の心を東京から発信して、世界に、沖縄にもメッセージを届けられるようになりたい」と将来を見据える。

 平和の詩を読んだ直後、県内外から反響が届いた。反響の中で「ありがとう」と言われた。なぜ感謝されるのか、当時は分からなかった。詩に書いた大おばの一人息子である、おじさんから「ありがとう」と言われ「犠牲になった人や遺族は今も苦しみを抱え、その人たちに寄り添えたからこその『ありがとう』なんだ」と気付いた。

 一度は琉球大に進学するも、東京で国指定重要無形文化財「琉球舞踊」保持者の志田房子さんに師事したく、東京の大学に入り直した。沖縄戦を経験した志田さんは創作の「鎮魂の詞」など平和への思いも強い。「踊り以外にも、沖縄への思いや心も勉強したい」と、継承への思いに力を込めた。
 (滝本匠)