23日投開票された名護市長選は、現職の渡具知武豊氏(60)が、新人で前市議の岸本洋平氏(49)に5085票差をつけ、再選された。取材班が選挙戦を振り返った。
<座談会出席者>
▽松堂秀樹、岩切美穂、長嶺晃太朗(以上、北部報道グループ)
▽大嶺雅俊、塚崎昇平(以上、政経グループ)
▽當山幸都(暮らし報道グループ)
【コロナの影響】5千票差は予想外
―コロナ下の選挙になった。
A 基地問題で注目されるようになった1998年以降の市長選で「一番盛り上がっていない」との声を多く聞いた。両陣営とも中央政党幹部らの応援入りがなかった。
B 過去最低の投票率(68.32%)も、コロナの影響が大きく響いたと思う。渡具知氏に有利な空気は感じたが、5千票差以上も開くとは予想できなかった。
C 4年前に比べ、インターネット上を飛び交う誹謗(ひぼう)中傷やデマに関する投稿は少なかったと思う。『パンダ』や『スタバ』など、いかにも有権者受けを狙ったキーワードは飛び交わなかった。
D 琉球新報北部支社にひっきりなしに世論調査の電話があった。地域選挙で辺野古移設という国策を問われ続ける異様な状況を象徴していた。
【県内政局】オール沖縄に大打撃
―県内政局への影響は。
D 地域選挙に比べて、参院選や知事選などの全県的な選挙では、辺野古は争点化されやすい。政権与党の自公も反対の民意が根強いことは認識しつつ、争点化を避けようとするだろう。
E 渡具知氏が掲げた「推移を見守る」という手法は、参院選や知事選では使えない。どんな戦略をとるか注目だ。
C 今回の結果は玉城デニー知事ら「オール沖縄」勢力に大打撃だと思う。名護に加え、南城市長選でも敗れた。辺野古反対の「風頼み」の限界を露呈した。
A 先の衆院選でも名護市長選でも、世論調査で玉城県政の評価は依然高い。全国ワーストのコロナ感染拡大、沖縄関係予算の減額などもあったので正直意外ではある。
B 市長選で県政評価が直接問われるわけではなく、「デニー効果」は限定的だった。知事選に、今回の名護、南城市長選の結果がそのまま跳ね返ると考えるのは早計だろう。