【辺野古問題取材班】 辺野古新基地建設の護岸着工から5年。抗議船「不屈」の船長などを務める牧師の金井創さん(67)=南城市=は最前線で新基地建設の現場を目の当たりにしてきた。「すっかり変わり果てた」と声を落とす。
金井さんは県外出身だが、辺野古問題に関心があり、20年以上前から現場に足を運んでいた。抗議活動に参加した地域の高齢者から、辺野古の海は資源が豊富で、戦後重要な食料源になっていたことを聞かされる。「命をつないでくれた海に恩返しがしたい」。高齢者の言葉は金井さんの胸に深く刻まれた。
「沖縄のために生きたい」と決し、2006年に沖縄に移住した。現在は南城市の教会で牧師を務めながら辺野古や安和沖で抗議活動をする。
19年の県民投票などで「反対」の民意は示されたにもかかわらず、目の前には護岸ができた。「生き物がたくさんいた楽園のような海が今では護岸に囲まれ、土砂で埋め付くされている」と嘆く。アジサシ類の鳥の大群が辺野古に姿を見せていたが、この5年で激減した。
「基地問題は日本全体で考えるべきだ。沖縄だけを犠牲にして済むと思わないでほしい」と訴える。「命をつないだ海」を守るため、金井さんはこれからも海に出る。
(長嶺晃太朗)