早稲田大学(鎌田薫総長)は21日、同大が社会や文化、公共の利益に貢献したジャーナリストを顕彰する第15回「石橋湛山記念 早稲田ジャーナリズム大賞」の受賞作品を発表した。公共奉仕部門(応募54作品)で、琉球新報社の新垣毅編集委員の「沖縄の自己決定権を問う一連のキャンペーン報道~連載『道標(しるべ)求めて』を中心に~」が大賞に選ばれた。琉球新報社が同賞を受賞するのは10年ぶり3度目。
選考委員会は「新聞のありようとその果たす役割を問い掛けた連載記事として、選考会で圧倒的に支持された」と評価した。
同キャンペーンの中心となった連載「道標求めて―琉米条約160年 主権を問う」(2014年5月1日―15年2月15日)は、琉球国が米国など3カ国と条約を結んだ主権国家であり、琉球併合(「琉球処分」)が国際法上、不正であった可能性が高いことを明らかにした。
連載全体を通じて、琉球併合によって剥奪された自己決定権の回復によって、基地問題に象徴される差別から脱却し、自立とアジアとの共生を目指す沖縄の方向性を提示した。
草の根民主主義部門では、堀川惠子氏の著作「原爆供養塔~忘れられた遺骨の70年~」、文化貢献部門では、朴裕河(パクユハ)氏の著作「帝国の慰安婦~植民地支配と記憶の闘い~」が大賞に輝いた。
石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞
社会的使命を自覚した言論人の育成などを目的に、早稲田大学が2001年に創設。エコノミスト、同大出身者初の首相となった石橋湛山の名を冠した。重厚な選考委員の顔ぶれなど、ジャーナリズム顕彰の賞としての評価を高めている。ことしは117作品の応募があった。