政治

県、辺野古埋め立て承認の撤回検討 国の強行「公益に反する」

 県は米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設計画について、政府が埋め立て本体工事を進める法的根拠とする前知事による埋め立て承認の「撤回」を検討していることが30日までに分かった。翁長雄志知事は今月13日、埋め立て承認を「取り消し」たが、国土交通相が取り消しの効力を停止し、さらに知事に代わり承認取り消しを取り消す「代執行」手続きを始めた。これを受け、防衛局は29日に埋め立て本体工事に着手した。県と政府はこの措置をめぐって法廷闘争に移る見通しだが、一方で県側は法廷闘争で県側の主張が認められなかった場合などに備え、「二の矢」として「取り消し」に続き、承認を「撤回」することを検討している。

 公有水面埋立法に基づく埋立承認の「取り消し」は承認前の過程にさかのぼり、違法性が確認された場合に認められる。翁長知事は県が設置した第三者委員会が前知事の承認過程に「瑕疵(かし)があった」と結論付けたことから、承認を取り消した。
 一方で「撤回」は、承認後に生じた事由で国と県の公益を比較し、県の公益が大きい場合にできる。県側は「違法性があり(取り消し理由)、かつ公益にも反する(撤回理由)事例もある」として、知事は取り消しと撤回の両方を行使できるとみている。
 県は辺野古埋め立て承認に付した「留意事項」で、防衛局は本体工事を始める前に実施設計や環境対策に関する事前協議を県と行うよう定めている。県が協議を「継続中」とする立場なのに対して、防衛局が一方的に打ち切りを通告し、29日に本体工事を強行している。県はこうした点などが「承認後に生じた撤回事由」に当たるとみている。
 複数の県関係者は「今後も防衛局は承認権者である県の指導に従わずに工事を進めようとするだろうが、そうした行為が積み重なれば(次々と)撤回事由となる」としている。県は週明けに防衛局に対し、事前協議の復活と、協議の間は工事を中断するよう求める行政指導を行う。
 また昨年の知事選や名護市長選で県民の多数が新基地建設に反対していることが示された点も、県内部では撤回事由の「公益」となるとの見解がある。
 県はこうした対抗手段を既に顧問弁護士らに照会し、撤回が選択肢となり得るとの回答を得ている。
 県は当面、既に実行した承認「取り消し」に関する国側との法廷闘争に注力する方針で、その行方を見定めながら翁長知事が最終的に撤回に踏み切るかを判断する。(当銘寿夫、島袋良太)



琉球新報