県議会が手話言語条例(仮称)制定に向けて取り組んでいる。来年の2月定例会への条例案提出を目指し、与野党でつくる検討委員会が関係団体との意見交換や先進地視察を重ねる予定だ。10月20日には県聴覚障害者協会の野原龍信会長らが検討委の議員らに対し、聴覚障がい者を取り巻く現状を語った。
野原会長らによると、他国に比べて日本は「手話は言語」という意識が低い。「多民族国家では多様な言語を許容するが、日本は複数の言語への親しみが薄い」と感じている。
協会の比嘉豪理事は普通学校に通い、健常者と同じ教育を受けてきたが、日本の教育は障がいへの理解を深めないと問題点を指摘。「歴史教科書に載っているのは健常者のことばかり。学校教育で教えないと理解する下地が育たない」と説明した。
問題は教科書だけではない。沖縄ろう学校に赴任する教師は手話を覚えるカリキュラムがない。そのため個人で手話を学ぶが、覚えた2、3年後には転勤になり、専門性が求められる教育現場に適任者が定着しないという。「手話が不完全な先生では生徒の学習も不完全になる。十分な学力が身に付かなければ社会性を養うことも難しい。聴覚障がい者の就職率が低い原因もそこにある」と比嘉さんは語る。
野原会長は「手話を言語として認識するだけでは十分ではない。聴覚障がい者が障がいを感じることなく生活できる環境をつくることが大事。普通学校で英語を教えるように、手話を教えることが必要だ。手話言語条例がそのきっかけになれば」と期待している。
英文へ→Okinawa Deaf Association asks prefectural government to enact ordinance on sign language