自己決定権教育の見直し提言 那覇でスコットランドシンポ


この記事を書いた人 志良堂 仁
沖縄の自己決定権確立のシナリオやスコットランドから学ぶ点について鼎談した(右から)島袋純教授、江上能義教授、新垣毅記者=6日午後、那覇市泉崎の琉球新報ホール 

 沖縄の自己決定権獲得について、昨年9月に独立を問う住民投票が行われた英国スコットランドから学ぼうというシンポジウム「スコットランドの自己決定権」(同実行委員会主催、琉球新報社共催)が6日午後、那覇市泉崎の琉球新報ホールで開催された。8月まで1年間、スコットランドで在外研究をしてきた江上能義早稲田大教授の講演に続いて、スコットランドに詳しい島袋純琉球大教授、昨年の住民投票を現地で取材した琉球新報の新垣毅記者が鼎談(ていだん)した。鼎談では、地方自治の問題は日本全体の問題だと強調しつつ、沖縄の経済振興の仕組みの見直しや権利獲得を目指す教育の在り方などが提言された。約120人が熱心に聞き入った。

 江上教授は「スコットランド独立投票とその後」と題して、住民投票までの歴史、投票直前の世論調査や投票の結果を紹介し、ことし5月の英国議会総選挙結果を分析した。総選挙でのキャメロン首相率いる保守党の圧勝は、独立を目指すスコットランド国民党(SNP)の躍進が確実だったことが影響したと指摘し「最後の最後に英国民は連合王国を維持したということだ」と語った。
 鼎談では、新基地建設をめぐって国と沖縄県が法廷で争う状況の中で、スコットランドから何が学べるか、また沖縄が自らの政府をつくる権利を実現するためにどのようなシナリオが描けるかなどを議論した。
 島袋教授はヨーロッパの独立運動がEUの「地域からなるヨーロッパ」という枠組みの中で取り組まれていることに比べて「アジアでは立憲主義が日本でさえ浸透していない」と指摘し、社会科教育の見直しを主張した。国主導の経済振興策の仕組みを変えることも提言した。
 江上教授は「今、日本政府が沖縄でやっていることは地方自治の破壊、憲法・民主主義の破壊であり、沖縄だけの問題ではない。地方自治が奪われていくということを広めるべきだ」と訴えた。
 新垣記者は「若い人の意識を変える取り組みが重要だ」と指摘した。