子の貧困率、沖縄30% 県が調査、30億円基金創設へ


この記事を書いた人 田盛 良一

 子どもの貧困の実態調査を実施してきた県がまとめた県内の子どもの貧困率が29・9%であることが28日までに分かった。県単位の貧困率が出されるのは全国で初めて。県内の子どもの約3人に1人が貧困状態に置かれていることを示す。全国の2012年時点の同貧困率は16・3%で、沖縄は2倍近い厳しい状況であることが浮き彫りになった。県は深刻な子どもの貧困に対応するため、県独自に30億円規模の基金創設を検討している。

 県は、貧困率を算出するため全市町村を対象に住基ネットと住民の所得が分かるデータを集め、国の子どもの貧困率と比較可能な情報がそろう8自治体のデータを活用した。8自治体で県内の18歳未満の過半を超える。県は29日、会見を開き、今回の貧困率と併せて、県内の小中学生と保護者を対象にしたアンケートの中間報告を行う。
 県の基金は、16年度から現在の沖縄振興計画の21年度までが期間。16年度予算計上へ最終調整に入った。
 県は現在、「子どもの貧困対策推進計画(仮)」を策定中で、15年度中に決定し16年度から実行する。基金が創設されれば計画にも反映されるとみられる。
 計画策定に向け外部有識者らでつくられた「県子どもの貧困対策に関する検討会」などで、就学援助など「市町村の支援が必要な人に届いていない」という指摘が多く出されていた。県は基金を活用して、市町村の事業を支援する施策を検討していくとみられる。
 子どもの貧困対策では、内閣府沖縄担当部局が16年度事業として、10億円を計上し、居場所の運営支援や支援員の配置などを行う。そのため県は、内閣府とは重複しない形で事業を検討していくとみられる。
英文へ→Okinawa to establish 3 billion yen fund to tackle child poverty