文化振興「分権を」 研究者が発展へ議論


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
会場からの質問に答える登壇者ら=31日、那覇市の県立博物館・美術館

 文化と経済の研究者がそれぞれの研究を報告する「交差する地域文化とイノベーション―保護から自律的創生へ―」(琉球大学国際沖縄研究所主催)が31日、那覇市の県立博物館・美術館で開かれた。狩俣繁久琉大教授が民俗文化のレッドデータリスト作成の構想を報告したほか、国内の文化経済学の第一人者である摂南大学の後藤和子教授らがそれぞれの研究を紹介した。来場した40人は真剣な表情で聞き入っていた。

 後藤教授は文化の多様性は各文化の発展に重要だと強調。行政による補助金制度では「政治の道具になりやすく、既存の大きな団体が助成を受ける傾向がある」と問題点を挙げた。対案として民間も関わる多様な支援を可能にする「分権化論」を紹介した。
 文化政策の評価方法について発表した日本学術振興会の林勇貴特別研究員は、博物館などの文化施設の評価には来場者数や事業収支だけではなく、その地域の住民や企業に与える影響などを考慮する必要があると指摘した。
 県立芸術大学の久万田晋教授は、県内の代表的な芸能であるエイサーの変遷について報告した。