県教育委員会が戦前(1879年~1945年)の近代沖縄史料のデジタル化事業を2016年度から始める方針であることが、12日までに分かった。戦後の史料のデジタル化は行ってきたが、戦前の史料では初めて。事業は21年度までの6年計画で、ホームページで公開することを目指す。
デジタル化の対象となるのは、県内外にある「琉球処分」から戦前までの主に新聞史料など約3万9千点。当時の史料が沖縄戦でほぼ消失していることから、国立国会図書館などに残されている県内紙などの新聞史料が当時の状況を知る手掛かりとされている。
本土復帰前後に収集した史料もある。半世紀近くが経過した現在、フィルムなどを中心に劣化も進んでいる。担当者は「デジタル化することで史料を半永久的に残せ、原史料の保存につながる」と強調する。
北海道大学の近藤健一郎准教授(近代沖縄史)は「沖縄戦の影響で沖縄県の政策を示す史料が少なく、沖縄近代の研究は新聞記事を手掛かりにしている。画期的な事業だ」と期待した。同事業の予算(2014万3千円)は県議会2月定例会で審議される。(安富智希)