【ワシントン=問山栄恵本紙特派員】米国防総省は9日発表した2017会計年度(16年10月~17年9月)の国防予算案で、在沖海兵隊のグアム移転費として前年度の約3割増となる1億6470万ドル(約185億円)を計上した。グアム移転費の総事業費は約55億ドルを見込んでいるが、17年度は総事業費の約3%にとどまる。14年12月に米議会による移転費の執行凍結が解除されたが、低水準の予算措置が続いている。琉球新報の取材に同省が11日、回答した。
2017年度のグアム移転事業費の主な内訳は電力整備事業6200万ドル、設計費1500万ドル。そのほか在沖海兵隊を受け入れるグアム州へのインフラ整備支援として、水道・下水道施設整備などに8600万ドルを要求した。
昨年11月に成立した国防予算の大枠を定める国防権限法に規定された16会計年度(15年10月~16年9月)のグアム移転費は、国防総省要求額1億2600万ドルから増額の1億4190万ドル(約159億円)となった。主に実弾射撃訓練場(1億2500万ドル)を整備する。
国防総省当局者は「グアム移転に伴う環境影響評価(アセスメント)の最終版が昨年7月に公表され、海軍省が事業実施を正式決定した。移転事業は始まったばかりで、予算額は徐々に大きく増えていく」との認識を示した。
グアム移転事業をめぐっては経費の積算のずさんさや、米軍普天間飛行場の辺野古移設計画の見通しが不透明だとして、米議会が11会計年度以降、日本側の支出分を含む予算を減額、削除、凍結していた。米政府が14年夏に移転事業の基本計画を提出したことから、議会側は同年12月に予算凍結を全面解除した。
日米両政府が合意している嘉手納より南の米軍基地の返還・統合計画では、20年代前半に在沖海兵隊のグアム移転を始める予定としている。
米軍準機関紙「星条旗」によると、米海軍省統合グアム計画室長(現地)のシャーン氏はグアム移転について、在沖海兵隊は21年から移転を開始し「23年までの間には大多数が移転している」と述べた。
米側は海兵隊の国外移転完了後、牧港補給地区のうち海側の142ヘクタールを返還する。