日本、水域拡大求める 台湾は尖閣周辺要求 日台漁業協定


この記事を書いた人 志良堂 仁
会合を前にあいさつを述べる台湾側の代表者=2日、台北市内
会合に臨む政府や県内漁業関係者ら=2日、台北市内

 【台北=上江洲真梨子】日台漁業取り決め(協定)に伴う、2016年の操業ルールを策定する日台漁業委員会が2日午後、台北市内で始まった。2月に県内で開かれた事前会合で、台湾側から好漁場とされる尖閣諸島周辺も適用水域と認めるよう意見が出ていたという。日本側はこれに反対している。委員会は4日までの約2日半で、非公開で行われる。

 会合冒頭、日本側の交渉団団長を務める交流協会台北事務所の浜田隆総務部長は「現在の操業ルールは、さらなる見直しが必要と考えている。互いの主張を尊重しつつ、より安定した操業ルールが策定できることを願っている」とあいさつした。
 ことしの会合は協議時間を多く設け、2月から日台の漁業者や当局者が協議を続けていた。2月に日台双方の関係者が集まった会合は、15年のルール下での操業実績や改善点などを報告し合い、最終的にルールを策定する日台漁業委員会に向け、協議してきた。最大の争点となる漁船間隔4カイリ(約7・4キロ)での操業は、台湾側が「適用水域内に入れる漁船が減少する」ことを理由に、協議は難航した。
 日本側は引き続き、漁船間隔4カイリでの操業や八重山下方の三角水域拡大を求め、沖縄の漁業者にとって操業しやすい環境条件を求めている。一方台湾側は、漁具が適用水域外に流された際の回収方法や連絡体制などの整備を要望。日本側はこれに対し「事実上の水域拡大」との認識を示しており、慎重な姿勢を見せている。
 会場には現地テレビ局なども多く詰め掛け、台湾での日台漁業会合への関心の高さをうかがわせた。