沖縄戦71年「慰霊の日」  知事、平和へ県民の決意表明


社会
この記事を書いた人 金城 美智子

 沖縄は23日、沖縄戦から71年となる「慰霊の日」を迎えた。最後の激戦地となった糸満市摩文仁の平和祈念公園で20万人余りの戦没者を追悼する「沖縄全戦没者追悼式」(県、県議会主催)が開かれた。公園には早朝から多くの遺族らが訪れ、南洋群島での犠牲者らも含めた戦没者24万1414人分の名前が刻まれた「平和の礎」に手を合わせた。

 追悼式には、安倍晋三首相や関係閣僚のほか、衆参両院議長らが参列。参列者たちは正午の時報に合わせて、黙とうした。
 翁長雄志知事は平和宣言を読み上げ、20万人余りの尊い命が犠牲となった沖縄戦の記憶から、恒久平和を祈願し、アジア・太平洋地域の懸け橋として平和の実現に努力していく県民の決意を表明した。
 元米海兵隊の軍属による女性暴行殺人事件にも言及し、戦後71年を経ても米軍専用施設の約74%が県内に集中し、広大な基地があるゆえに事件・事故が後を絶たない現状を訴えた。日米地位協定の抜本的な見直しや海兵隊削減を含めた米軍基地の整理縮小を強く求めた。
 普天間飛行場の名護市辺野古への移設については県民の理解を得られていないとして、移設を容認できない姿勢をあらためて示した。
 平和の礎では、71年前に飢えと渇きで亡くなっていった戦没者たちを思い、遺族らが水や食べ物を添え、追悼した。宜野湾市からバスを乗り継いで来たという名城文子さん(89)は、祖父母と両親、姉、妹を亡くした。「みんな別々で、母と姉はどこで亡くなったか分からない。だから毎年ここに会いに来ている」と話し、家族の名前をそっとなぞった。
【琉球新報電子版】

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