辺野古、再び法廷に 国がきょう県提訴 高江着陸帯工事も再開


この記事を書いた人 Avatar photo 大城 誠二

 【東京】政府は21日、米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古の新基地建設を巡り、埋め立て承認取り消し処分に対する国の是正指示に翁長雄志知事が応じないのは違法だとして、22日に福岡高裁那覇支部に不作為の違法確認訴訟を提起すると発表した。21日午前、官邸で開かれた政府・沖縄県協議会で菅義偉官房長官が翁長知事に伝えた。提訴から15日以内に第1回口頭弁論が開かれる。代執行訴訟の和解を経て双方が再び法廷闘争に入ることになる。併せて政府は22日に東村高江周辺でのヘリパッド建設工事も再開する方針で、提訴と同時に県への圧力を強めている。

 協議会に先立ち、翁長知事就任後初の普天間飛行場負担軽減推進会議も開かれたが、政府から具体的な策の提示はなかった。

 22日の高江周辺でのヘリパッド工事再開で、政府は早朝から県道70号の封鎖やゲート前の車両撤去を計画しているが、協議会でヘリパッドは議題にならなかった。辺野古の陸上部工事は中谷元・防衛相が一部を再開したいと説明しただけだった。

 国の是正指示に関して、国地方係争処理委員会が違法性の適否を判断しなかった結果を受け、協議会で県は政府に対し、改めて提訴しない考えを示した。国側は是正を指示していた国土交通大臣が、地方自治法第251条の7に沿って県を相手に不作為の違法確認訴訟を提起すると伝えた。

 翁長知事は協議会後、記者団に「訴えが可能となる日を待っていたかのように直ちに提訴する判断が示されたことは非常に残念だ」と批判した。係争委が協議を促したことを踏まえ「係争委の考え方にもそぐわないのではないか」と政府の対応を疑問視した。

 協議会には岸田文雄外相、中谷防衛相、島尻安伊子沖縄担当相らも出席した。

 普天間飛行場負担軽減推進会議で翁長知事は5年以内の運用停止を改めて要求、進展などを確認するために工程表を策定するよう求めた。政府は会議の下に作業部会を設ける方針を伝えるにとどめた。佐喜真淳宜野湾市長も出席した。