【問山栄恵本紙ワシントン特派員】米ニューヨークの国連本部で現地時間22日午後(日本時間23日午前)に開かれた国連人権理事会の理事国選挙を巡る公開討論会で、理事国に立候補する日本政府に対し、国際人権団体が東村高江周辺でのヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)建設工事に抗議する市民への対応を問いただした。国際的な場で先進国が人権意識についてただされる異例の事態となっている。
討論会は国際人権団体アムネスティ・インターナショナル、国際人権サービス(ISHR)、パナマ政府の主催。理事国に立候補を表明している日本、米国、英国、ブラジルなど9カ国が参加した。
討論会でアムネスティは「日本は特に沖縄で、平和集会の自由をどのように保障するのか」と質問。これに対し、在ジュネーブ日本政府代表部の嘉治美佐子大使は「日本の警察と抗議者が衝突しているが詳細は把握していない」とした上で、「一般的に警察を含め日本政府は、国内法に従い行動している。日本の法制度は人権を保護し、憲法で平和集会の自由を保障している」と強調した。
討論会前日、日本政府は、高江で多くの市民らが抗議する中、全国からの機動隊員を投入しヘリパッド建設工事を強行した。
討論会での質問は短文投稿サイト「ツイッター」で募集。国内NGOなどに質問を呼び掛けた「反差別国際運動(IMADR)」のジュネーブ事務所の小松泰介氏は、嘉治大使の発言について「『国内法で(人権を)保障している』というのは的外れで不誠実」と批判。「日本は国連で人権先進国のイメージを打ち出しているが、実際は沖縄に挑戦的態度を示すなど事実と異なることをして顔を使い分けている」と指摘した。
現地高江周辺で抗議行動を続ける沖縄平和運動センターの山城博治議長は「日本政府は『違法ではない』などと建前の答弁をしたようだが、数百もの警官を投入し、圧倒的な力で市民を弾圧し、排除していると言わざるを得ない。国連側には日本政府の形式的な話を聞くだけでなく、実質的な調査をして何らかの判断を示していただければありがたい」と話した。