スマートフォン向けゲーム「ポケモンGO(ゴー)」で、糸満市のひめゆりの塔や平和祈念公園内にある平和祈念堂、平和の火が、ポケモン同士が対戦できる「ジム」に設定されている。同公園を管理する県平和祈念財団は「平和を願う場所で戦うのは不謹慎だ」として削除要請も考えている。県内では多数の名所・旧跡が、アイテムが手に入る「ポケストップ」に設定されており、神聖な御嶽(うたき)などではゲームを禁止する動きが出ている。一般の県民が立ち入りできない米軍施設内にもポケストップが設定されている。
平和祈念公園は沖縄平和祈念堂、平和の火、群馬の塔、黎明之塔の4カ所がジムに、平和の礎や各県の慰霊塔など約20カ所がポケストップに設定されている。糸満市伊原のひめゆりの塔もジムとなっている。県平和祈念財団の上原兼治常務理事兼事務局長は「平和を願う場所で戦いをするのは不謹慎で、戦没者の尊厳に関わる」と語った。
四つの御嶽がある石垣市川平では、地域の人も行事以外は入れない御嶽がポケストップになっていて、出入りを禁止するためロープや看板が設置された。御嶽を管理する糸満英憲さん(67)は「御嶽は地域が守り続けてきた神聖な場所だ。不遜な行為はやめてほしい」と訴えた。
中城村と北中城村にまたがる世界遺産「中城城跡」を管理する中城城跡共同管理協議会は、歩きスマホで転落や施設の損壊が心配されるため、ゲーム配信前に城跡内での「ポケモン採集禁止」の張り紙を掲示した。徳元睦事務局長は「前もって注意喚起をする意味で掲示した」と語った。
琉球王国の聖地とされる南城市知念字久手堅の斎場御嶽の中には3カ所にポケストップがあり、御嶽を管理する市観光協会は御嶽内でのスマホの使用を控えるよう来場者に求める張り紙を掲示している。
※注:徳元睦事務局長の「徳」は「心」の上に「一」