【名護】米軍キャンプ・ハンセン内で返還が決まっている東シナ海側の一部土地約162ヘクタール(名護市の幸喜、許田、喜瀬)のうち、2014年6月末に返還された幸喜区の市有地(約55ヘクタール)で、沖縄防衛局がことし7月末で磁気探査などの支障除去作業を終えた。防衛局が2日、市や幸喜区に報告し早期引き渡しの意向を伝えた。この土地は傾斜地で跡地利用が難しい「細切れ返還」になるとして市や地元3区は返還の延期を繰り返し求めてきた。幸喜区にある土地だけを先行し手続きを進めることに、同区から不公平さを指摘する声が上がる。
許田区と喜瀬区の土地は17年6月末に返還される予定だ。3区が11年に返還の延期を防衛局へ要請した際、許田、喜瀬両区は米軍普天間飛行場の移設先となる名護市辺野古区が移設を容認した場合は「協力する」と要請文に盛り込んだが、幸喜区は盛り込まなかった。幸喜区は先行返還に関し移設を容認しないことへの「見せしめ」などと指摘し疑問視してきた。
防衛局は3月から7月までの磁気探査で54カ所で沖縄戦中の銃弾や手りゅう弾、鉄くずなどの異常物を確認し回収などを終えた。
防衛局が市と協議した上で引き渡し日を決める。幸喜区の宮城治史区長は2日、防衛局に対し、10月ごろに予定する総会でその説明内容を区民へ報告した後、対応を検討したいと伝えた。一方、防衛局は市に対し早ければ今月中にも引き渡す意向を伝えた。引き渡すと、市や区への支障除去期間に伴う補償金が終了する。
宮城区長は取材に、同区の集落がオスプレイの飛行経路になっていることを踏まえ「土地を返還しても騒音は減らない。(基地の)面積が減っても、負担軽減になっていない」と強調した。