国家権力による歴史的な差別意識が、機動隊の男性「個人」にまで内在化してしまっている。これまで「沖縄と日本」というレベルで存在していた対立が、県外の人と沖縄の人という個人レベルにまで現れていて、関係性が一線を越えてしまった印象を受ける。
これまでもヘイトスピーチを行う市民らが「中国の手先」などと沖縄の人をやゆする出来事はあった。しかし今回は、明らかに公権力をバックに持って沖縄に来た機動隊員がそういった発言をしたことが大きな問題だ。
問題の根底には「沖縄」が「中央」の圧倒的な力によって「消費」され続けているという構図がある。「中央」の側にいる機動隊員たちにしてみれば、反対運動をしている人たち全てが「土人」「シナ人」という感覚なのではないか。それは「日本人」の対義語というよりも、「尊重する必要のない人間」という意味の言葉だと思う。
このままでは琉球処分、沖縄戦に続く「辺野古・高江」という三つ目の禍根が、本土と沖縄の人たちの間に残されることになるかもしれない。「中央」はあくまでも自己中心的で、相手(沖縄)のことを思いやる気持ちがない。他者の立場に立って問題をとらえようという姿勢や、そういった思いやりが失われつつある日本社会の現状が露呈した事件だ。