【東京】東京ローカルテレビ局・東京MXの番組「ニュース女子」が米軍北部訓練場のヘリパッド建設に反対する市民をテロリストに例えるなどし、市民団体「のりこえねっと」共同代表の辛淑玉(シン・ス・ゴ)さんの反差別運動を攻撃する内容を放送した問題で「のりこえねっと」と沖縄の有志は27日、東京都の衆院議員会館と那覇市の県庁で東京・沖縄合同記者会見」を開いた。辛さんの代理人弁護士は同日、放送倫理・番組向上機構(BPO)放送人権委員会に訂正放送や謝罪など人権救済を申し立てたと報告した。番組は「反対住民はテロリストなどの虚偽を前提に辛さんの人権を著しく汚した」と指摘した。
一方、沖縄の有志からは「基地を押し付けておいて悪質なデマを流すのは許せない」「名誉毀損(きそん)が公共放送でまかり通るのか」などの批判が相次いだ。
BPOへの申し立ては「反対派が救急車を止めた」など事実と異なる内容を列挙した。辛さんについて「反対運動を扇動している黒幕」「反対運動参加者に『日当』を出して『雇い入れ』ている」「親北派」などの内容を流したことで、辛さんの「名誉が毀損された」としている。
法務省の人権擁護機関への人権救済を申し立てることも予定しているという。今後、メディア関係者に事実の報道を働き掛けていく考え。
東京MXは26日、辛さんの代理人弁護士にファクスで「様々なメディアの沖縄基地問題をめぐる議論の一環として放送致しました」とする16日公表の見解と同様の内容を回答した。
番組では「のりこえねっと」が5万円の旅費を支援して現場に派遣した「高江市民特派員」について、番組は「日当」を支給しているかのように報じられたが、会見では「そのような実態はない」と強調。実際に派遣された2人が会見で現地に行った経緯や感想を述べた。【琉球新報電子版】