沖縄県病院事業局の伊江朝次局長(68)が、任期途中で辞職願を提出した件で、伊江氏は27日までに、琉球新報の取材に対し、県幹部から「『辞めてくれ。まだ続けるのか』と言われた」と辞職を求められたことを明らかにした。地方公営企業法で病院事業局長は特段の理由がない限り、4年の任期を与えられている。伊江氏は3月末で2期7年となる。
県幹部は伊江氏が辞職願を提出したことに「本人から申し出があった」とし、県から辞職を求めたことは「その事実は全くない」と否定した。
伊江氏によると、今月中旬ごろ県幹部から辞職願の書面を渡されて「書いてほしい」と求められ、提出した。書面には辞職の理由について「一身上の都合」と書かれていたという。
2016年にも、伊江氏を任期途中で辞職させる同様の動きがあったとされる。
伊江氏は「県立病院の医者をまとめる者として後ろ髪を引かれる思いだが、残ることで病院事業局に悪い影響があるかもしれないと思い(辞職願を)出した」と話している。
翁長雄志知事は30日に会見し、伊江氏の辞職願の提出について説明する考えだ。
公営企業法では病院事業局長が、(1)心身の故障のため職務の遂行に堪えない(2)業務執行が適当でなく経営状況が悪化し、適格性を欠く―と認められる場合に、任命権者である知事は辞めさせることができるとしている。
同法の逐条解説によると、病院事業局長の任期設定について「期間中、政治的変動に影響を受けることなく身分を安定させ職務に専念できるようにするため」としている。