沖縄の特質としてオーナー系企業が多いということもよく語られます。そして同族経営により一般の従業員には十分なお金を回さず、自身や子どもら親族にしかお金を回さないことが、沖縄の貧困の要因かのように語られることもあります。
しかし、これまで客観的データを示しているものを見たことがありません。沖縄に対するイメージや印象論で語られているのではないかと疑ってみたくもなります。
実際はどうかというと、帝国データバンクの統計では、オーナー企業(経営者が自社の株式の大半を保有している会社)は全国平均77・3%で、沖縄のオーナー企業の割合は72・8%となっています。全都道府県で下から2番目の低さです(信用調査報告書ファイル「CCR」と企業概要データベース「COSMOS2」を基に、代表者名と筆頭株主が確認できた約56万社から、代表者名と筆頭株主が一致した企業)。
沖縄は、歴史的・構造的に中小企業、それも個人経営の企業が全国比で一番高いことは確かです。
しかし、仮にこうした個人企業をオーナー企業として数えているのであれば、とても曖昧な記述ですし、全国に比べ自身や親族などにしかお金を回さない企業が多いというのは、一体どのような客観的な根拠に基づくものなのでしょうか。
なお、法人・個人に関係なく、親族に対する給与や報酬が、同じような勤務実態の一般の従業員や役員の給与(報酬)に比べ著しく過大な場合、過大給与(報酬)として税務上指摘される可能性があることを付言します。
(安里長従、司法書士)