【ワシントン=座波幸代本紙特派員】米政府監査院(GAO)が16日公表した報告書によると、2011~15年米会計年度の5年間に、不適切な行為のために除隊した米軍人9万1764人のうち、62%に当たる5万7141人が除隊前の2年以内に、心的外傷後ストレス障害(PTSD)や外傷性脳損傷(TBI)、アルコールによる健康障害などを含む何らかの診断を受けていたことが分かった。
米国防総省や軍のデータを基に同監査院が分析し、精神的な症状などが不正行為に関係していた可能性があると報告した。
報告書は、PTSDやTBIなどの精神的・身体的症状が、アフガニスタンやイラクでの紛争の「代表的な傷」であると国防総省が報告している一方、軍隊内や家族、社会的には認識されていないと説明。これらの症状が軍人の感情や行動に影響を及ぼし、結果的に薬物の使用や犯罪行為、規律違反などによる不正行為につながる懸念があることを指摘した。
特に、除隊した16%がPTSDやTBIの診断を受けており、23%が米退役軍人省の医療給付が受けられていない現状を指摘。米軍内のカウンセリングや予防策が徹底されておらず、除隊後の医療的な保護も十分ではないと、国防総省や軍に改善を促している。