戦没者遺骨DNA鑑定、集団申請へ 民間人の身元特定つなげる


この記事を書いた人 Avatar photo 瀬底 正志郎
県内各地で沖縄戦の戦没者遺骨を収集し、国にDNA鑑定を求めるガマフヤーの具志堅隆松さん=2015年6月、那覇市泊

 沖縄戦遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」(具志堅隆松代表)は、7月にも沖縄戦の戦没者遺骨のDNA鑑定を集団で厚生労働省に申請する。集団申請は初めて。同省のDNA鑑定の参加呼び掛けは事実上、軍人・軍属の遺族に限られてきたが、ガマフヤーは軍民や国籍を超えた申請を募る。民間人の鑑定参加を促し、身元の特定につなげる考えだ。6月22日午後2時から、浦添市社会福祉センターで戦没者の遺骨DNA鑑定に関心のある人らを対象に「戦没者遺骨を家族の元へ6・22沖縄集会」を開き、集団申請への参加を呼び掛ける。

 沖縄戦の戦没者遺骨のDNA鑑定では、遺留品なども判断材料としながら身元を特定したのは過去に4例ある。いずれも軍人・軍属で民間人の事例はない。

 2016年3月に成立した戦没者遺骨収集推進法を受け、厚労省は16年度、那覇市真嘉比、西原町幸地など4地域から見つかった遺骨について、日本軍の部隊記録から軍人・軍属の死亡場所を確認し、関係する遺族にDNA鑑定への参加を呼び掛けた。しかし、遺族特定にはつながらなかった。

 厚労省は17年度、10地域に範囲を広げてDNA鑑定への参加を呼び掛ける。同省は「民間人遺族のDNA鑑定の申請を閉ざしてきたわけではない」としているが、鑑定呼び掛けは主に日本軍の部隊記録に基づいており、事実上、軍人・軍属に限られてきた。

 具志堅さんは「沖縄戦の特徴は誰がどこで亡くなったか分からないことだ」と指摘し、日本軍の部隊記録を手掛かりとした鑑定参加の呼び掛けや、DNAを照合する厚労省の手法を疑問視。「希望する(全ての)遺族と(国が収集した全ての)遺骨DNAを照合してほしい」と求める。

 国へ遺骨DNA鑑定を求める集団申請に関し、戦没者氏名、遺族氏名(なるべく戦没者との続柄も)、連絡先だけでも可能だとして「鑑定費用は国の責任で負担するのでかからない。全国の遺族や韓国、米国の遺族にも参加を呼び掛ける」と幅広い参加を呼び掛けた。

 集団申請に関する問い合わせはガマフヤー(電話)090(3796)3132。(古堅一樹)