モード変換時、重心前方に ルポ・オスプレイ搭乗


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米海兵隊の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイから見えた沖縄本島内の市街地=20日、沖縄本島上空

 オスプレイの体験搭乗の出発約30分前、側面に「03」と記された灰色の機体から突然、低いごう音が鳴り響いた。飛行前のエンジン調整音だったが、駐機場に隣接する格納庫でオスプレイを説明していた米軍側担当者の声はかき消され、すぐ近くにいた報道関係者の声すら聞こえないほど。同時に機体のランプが点滅し始めた。

 ヘッドホンが付いたヘルメットを装着し、約5キロある安全器具を着けて機体へ向かうと、回転し始めたローターからの熱が広がり、地面から熱風が確かに伝わる。機体後方の開いたハッチから入ると、天井や壁のケーブルや配管はむき出しになったままだった。18人の報道陣は向かい合った席に座り、出発を待った。
 午後1時15分すぎ、後方ハッチが開いたまま、固定翼モードに近い形でオスプレイは飛び立った。一気に加速して高度を上げた後、ハッチは一度閉じられ、真っ暗な機体内では「ゴーッ」と風を切る音と機体の音が混ざり、機体から伝わる振動が座席から体に響く。ヘッドホンを外すと音が脳の奥まで響いた。
 閉じていたハッチが開くと、市街地の上空を飛んでいることが確認でき、普天間飛行場をローアプローチ飛行で通過する際にはかなり低い高度で飛んでいるように見えた。飛行して約15分後、固定翼モードに変換する際に「キーン」という高い音が聞こえ、同時に重心が前方に傾くのを感じた。その後、オスプレイは約15分間飛行し、普天間飛行場に着陸した。着陸時、機体が左右に若干揺れた。操縦したパイロットは安全性を強調したが、モード変換時の重心の傾きや着陸時の揺れを体感し、オスプレイの危険性への疑念が解消するには程遠かった。(池田哲平)