助産所開設へ奮闘 妊婦の理想的環境つくりたい


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
佐藤のぞみさんを触診する鬼澤宏実さん=1日、名護市嘉陽

 【名護】妊婦が理想的な状態で出産できる環境づくりをしようと、名護市の助産師鬼澤宏実さん(36)が本年度中の助産所開設に向け奮闘している。

県内では病院で出産する女性がほとんど。県立病院に勤務しながら、出張検診をしている鬼澤さんは「妊婦さんと相談しながら出産方法を決める。産み方の一つとして考えてもらいたい」と妊婦に寄り添っている。
 看護師をしていた鬼澤さんは「自然に産みたい」と4人の娘を助産院で出産。30代を前に学校に通い、自らも助産師となった。昨年9月に夫の信之さん(39)ら家族と共に横浜市から名護市に引っ越し、10月に「かりゆし助産院」を開いた。
 助産師は基本的に正常出産の場合に単独で助産行為が行える。困難な場合は医師が関わる必要があるため、鬼澤さんは嘱託で勤務する産婦人科の医師不足が続く県立北部病院について「役割は重要」と語り「自宅で産みたいという人などが選択できる」と説明する。
 鬼澤さんは1日、里帰り出産で名護市内の実家に居る佐藤のぞみさん(31)=大分県=の元を検診で訪れた。佐藤さんは既存の医療施設で、鬼澤さんに手助けしてもらうオープンシステムで出産することを決めた。「今度が2人目。できるだけ医療行為のない出産がしたくて、初めて助産師さんにお願いした。1対1でリラックスできるところが良い」と語る。
 めでたいという意味の「かりゆし」を助産院の名前にした鬼澤さんは「助産院では、自然の中で生きる人間らしいお産を勧めている。妊婦さんの求めに少しでも応えたい」と優しい笑顔で語った。