車の違法整備が横行 県内、未認証工場180ヵ所


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 国交省の認証を受けていない自動車整備工場での違法整備が県内で横行している。認証工場が加盟する県自動車整備振興会によると、県内で認証工場は約千カ所あるのに対し、未認証工場は確認されているだけで約180カ所(2013年11月時点)に上る。振興会は未認証工場の実数は400~500社ほどあると推測しており、他の都道府県と比べて割合が高いと指摘、同工場での違法整備は重大事故につながる危険性があると警鐘を鳴らしている。

 県内で未認証工場による違法整備で摘発された事例はない。整備振興会の強い要望を受けた県警は昨年から未認証工場の取り締まりを強化し、監督官庁の沖縄総合事務局との合同立ち入り調査を始めた。県警交通指導課は「これまで未認証工場の実態をきちんと把握していなかった。今後は総合事務局と連携し、取り締まりを徹底したい」と強調した。
 総合事務局車両安全課によると、未認証工場は認証工場に比べ、熟練整備士の数や規模が小さく、車検に伴う手順、作業が適正に行われているかも不透明だという。同課が12年に立ち入り調査した工場は過去5年で最も多い88カ所だった。仲嶺朝一課長は「車を安全に乗るために(認証工場での)定期点検・整備を確実に実施してほしい」と呼び掛けた。
 整備振興会は未認証工場が減らない理由として、未認証工場が売りにする低価格に引かれる顧客が後を絶たないことや、未認証工場の存在を知らない車両所有者が多いことなどを挙げる。
 名嘉真朝次会長は「未認証工場で車を分解整備することは、例えば医師免許を持っていない人が医療行為をすることと同じだ」と強調。「車の安全性が確保されないため、道路を走っている時、車がいきなり壊れ、大事故を起こすこともあり得る」と注意を促した。(吉田健一)

<用語>認証工場
 道路運送車両法では自動車の分解整備を行う場合、国交省の定める作業場、点検整備設備、整備要員の基準を満たす必要がある。違反した場合は50万円以下の罰金が科せられる。通常、自動車整備事業者には認証工場と指定工場(民間車検場)があり、1級または2級整備士のほか、一定割合の整備士を配置しなければならない。2013年11月末の県内の指定工場は362カ所。認証工場は1038カ所で、いずれもほぼ横ばいで推移している。

沖縄総合事務局が交付している指定工場(青)と認証工場の標章