<金口木舌>かっこ書きの人生でなく…


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 「上原」「玉城」「金城」「大城」。1935年の旧糸満町で多い名字の順で、この四つが全体の約78%を占めていた。糸満市史の「旧糸満町編」で紹介されている

▼韓国人の名字は「金(キム)」「李(イ)」「朴(パク)」の上位三つで人口の3分の1を超えるといわれる。1位の金さんは全人口の約5分の1という
▼横浜市は、性的少数者(LGBT)や事実婚のカップルを結婚に相当する関係と証明する「パートナーシップ宣誓制度」を開始した。同性のパートナーシップ制度は那覇市も導入しているが、事実婚も含めるのは千葉市、神奈川県横須賀市に続き3例目だ
▼住民票などで、旧姓を併記できるようになった。今月から運転免許証でも始まり、氏名欄にかっこ書きで旧姓のフルネームが記される。政府の「女性活躍加速のための重点方針」の一環だ
▼旧姓を使う人の利便性向上が期待されているが、事実婚カップルらが求めている選択的夫婦別姓制度の実現には程遠い。「パートナーシップ宣誓制度」も法的拘束力はなく、どちらも根本的な解決にはならない。国連の女性差別撤廃委員会は、夫婦同姓の民法規定の改善を勧告している
▼特別珍しい名字でなくても、姓は自分の大切な一部だ。かっこ書きの付属のような旧姓併記ではなく、希望すれば結婚後も生まれながらの姓を選択できる法制度が必要だ。一日も早い実現が求められている。