<金口木舌>沖縄の文化そのもの

 「えさ代がなく、困っている」「豚に回していた運転資金がなくなってしまった」。1986年の本紙に、豚熱(CSF、豚コレラ)の感染拡大で苦悩する養豚農家の声が報じられている。当時は豚の大量死が県内各地で相次ぎ、感染は本島北部から中南部に広がった

▼「感染拡大なさそう」という記事が載った3日後に「中部に飛び火」と報じられている。発生確認から43日後に県が終息を宣言したが、混乱ぶりや対応の難しさが紙面からも伝わる
▼本島中部で34年ぶりの感染が確認された豚熱は現在、終息が見通せない。県が検査結果を「全て陰性」と発表した発生農場から3キロ圏内の養豚場で15日、新たな感染が確認された
▼ウチナーンチュと豚は切っても切れない関係だ。沖縄の食文化は豚抜きに語れない。終戦直後にハワイから豚を運んだ県系人らを取材した作家の下嶋哲朗さんは「豚は沖縄の歴史、伝統、文化そのものだ」と語る
▼豚熱にかかった豚の肉は市場に流通しない。仮に感染した豚肉を食べたとしても人間に影響はない。しかし県内の精肉店主からは「懸念していた買い控えが出ている」との情報もある
▼「農家だけでなく全県民の問題」と下嶋さんは指摘する。報道機関として風評被害につながらない報道を心掛けることはもちろん、県民ぐるみで沖縄の豚を守っていく態勢作りが必要とされている。



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