<金口木舌>旅立ち支えたい

 俳優の宇梶剛士さんは若い頃、複雑な家庭環境やいじめなどから暴力事件を起こし、少年院に入った経験がある。インタビューや著書で半生を伝えている

▼転機になったのは少年院で出合ったチャプリンの自伝だった。厳しい環境で育ったチャプリンの生い立ちに共感し少年院を出た後、映画をたくさん見た。笑いあり涙あり、社会風刺もある。心が震え俳優を志した
▼沖縄市山内にあった沖縄少年院の日常を切り取った写真の展示会「旅立ちました」が那覇市民ギャラリーで開かれている。運動場を駆け回り、エイサーに興じる少年たち。背筋を伸ばし学習する姿。就寝中の背中にあどけなさが残る
▼2019年7月に糸満市真栄平に新築移転する前の1年半を捉えた101枚。同少年院に勤務する法務教官の永山直樹さんが撮影した。「悪い環境を排除したら院にいた少年は普通の子どもたちと同じ。少年院の今を伝えたい」と展示会の狙いを語る
▼永山さんは過去に、少年院で過ごしたある少年の言葉に衝撃を受けた。「悪いことをしても周りは何も言わない。だからやっていいと思っていた。みんな忙しいから僕に関われないよね」。大人への不信感でいっぱいだった
▼少年たちは過去を見つめ直し非行と決別し出院する。出院式では進学や就職へ夢を語る。子どもたちを見放さない、包容できる社会が問われている。



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