<金口木舌>安全運転第一に


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 76歳の母の軽自動車にドライブレコーダーを搭載した。宮古島の86歳の義母は運転免許証の返納を検討中だ

▼高齢ドライバーの交通事故が全国的に多発している。昨年4月に東京・池袋で87歳の運転者が母子をはねて死亡させた事故。原因はブレーキとアクセルの踏み間違いだった
▼「車の整備や点検だけで事故は防げない」。糸満市の上原自動車の上原勇樹社長(37)は、知人がブレーキとアクセルの踏み間違い事故を起こした経験から、さまざまな事故防止の装置を調べた
▼上原社長が出合ったのは埼玉県の企業が開発した「STOPペダル」。純正のアクセルと交換し、強くアクセルを踏み込むとブレーキが作動する。高齢になった親の運転を心配する家族からの問い合わせが多いという
▼政府の「サポカー補助金」の申請受け付けが今月から始まった。65歳以上を対象に、安全運転サポート車や後付けのペダルの購入などを支援する。石垣市は県内で初めて安全運転支援装置の設置費用を補助する事業を実施している
▼上原社長は「装置で100%事故を防げるわけではないが、アクセルを踏み間違えたときの暴走は防げる」と話す。自動車は生活に欠かせない「足」という高齢者も多い。大切な人を加害者にも被害者にもしたくない。安全運転を第一に、高齢者も安心して運転できる社会を築くことが重要だ。