<金口木舌>無関心ではいられない


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 台風の後、村はずれの山に深い穴が見つかる。人々はそこに原子炉のごみや機密文書などの不要品を捨て始める。街はきれいになったがある日、異変が起きる

▼星新一さんの短編小説「おーい、でてこーい」は人間のマイナス面を描く。ごみを捨てる人たちは誰かに責任を押しつけて安心し、問題の解決を先延ばしにしていることに気づかない。ただ、代償を払う日は必ず訪れる
▼現実の世界に目を向けると、コロナ禍からの回復や子どもの貧困、基地問題など解決すべき事案が山積する。無関係だと責任を回避して、解決を先延ばしにしていないか。自分に問いかけてみる
▼問題解決のため、できることの一つが投票だ。一票に思いを託せば社会を変えるきっかけになる。個人ではできないことも、みんなで動けば思いが伝わって大きな力になる
▼解決策を見いださずに、子どもや孫たちの世代まで問題を残してはいけない。無関心のままでは将来の世代が代償を払うことになる。投票で自分の意見を示すことは、今を生きる大人の責任でもある。