<金口木舌>立秋とはいえ、夏真っ盛り


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 限り無く黒に近い濃紺のクロスズメダイ。オレンジや黄色のソフトコーラルの群体。イソギンチャクの合間を泳ぐクマノミ。海の中の世界は、絵や写真では再現し難い色彩が広がる。十数年ぶりに北谷町砂辺の宮城海岸でダイビングをした

▼太陽光が差し込む海中は、光加減によって魚もサンゴも見せる色が異なる。それは地上でも同様だ。ガジュマルの葉の陰影、オレンジでも赤でもない色を放つサンダンカ、紫にもピンクにも見えるブーゲンビリアなど、沖縄はさまざまな色にあふれている
▼グラフィックデザインの仕事をしている県外出身の知人が「沖縄の人は、本土の人と違った色彩感覚がある」と言っていた。いい意味ではっきりした色や、意外性のある色を使うという
▼先日北海道で行われた写真甲子園で、知念高校が準優勝した。昨年は浦添工業高校が優勝、一昨年も浦添工業が3位、真和志高校が敢闘賞に輝いた。県勢のレベルの高さがうかがえる
▼同行した記者によると、沖縄の高校生は光の使い方が県外の生徒と比べ明らかに違うという。沖縄の自然環境が無意識のうちに色彩感覚を育んでいるのだろう
▼今日は暦の上では「立秋」。秋の入り口とはほど遠い、厳しい暑さが連日続く。しかしこの日差しだからこそ輝く世界がある。この景色に気付けるかどうかはあなた次第。夏が終わる前に堪能しよう。