<金口木舌>雪かきと沖縄


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 7月22日の映像が東村高江周辺に多くの人を集めている。米軍北部訓練場のヘリパッド建設に抗議する市民らを、全国から来た機動隊員が排除する様子を映したものだ

▼現場で機動隊員の行動を目の当たりにし、思い出したことがある。2013年1月、大雪の翌日、東京の官邸前で反原発のデモが行われた日のことだ。雪が踏み固められ、滑りやすくなっていた
▼けが人が出ないかと不安になった。だがデモが始まる2時間前、雪かきが始まった。行動したのはデモを警備する機動隊員だ。警備する場所だけでなく、参加者が立つ歩道も含め、デモ開始前には雪がほぼなくなった
▼もちろん機動隊は市民らの行動を警戒した。だが雪かきで多くの人が守られたのは確かだ。これが思想・信条の自由や表現の自由、市民の安全を確保する警察の任務かと納得した
▼さて沖縄だ。東京のデモも知る弁護士は「車から引きずり下ろすなど明らかにやり過ぎ。これほど強引なのは見たことがない」とした。二重基準か、沖縄差別か。当時も安倍政権だが、雪かきをした機動隊員が今の沖縄での任務を見たらどう感じるか
▼沖縄以外も安心できない。全国の機動隊員が沖縄でしたことを持ち帰る可能性があるからだ。憲法改正に突き進む安倍政権。挙げた拳を押さえ付けられない方法は、沖縄に目を向けることにある。