きょうは71年前にアジア・太平洋戦争が終結した日である。いや、8月15日だろうとの指摘もあるかもしれない。日本では8・15がお決まりだが、国際標準では大日本帝国が戦艦ミズーリ号で連合国に降伏調印をした9月2日が終戦の日だ
▼米・仏など旧連合国の対日戦勝記念日(VJデー)は9月2日。旧ソ連や中国は9月3日。例外的に韓国、北朝鮮、英国が8月15日だ
▼なぜ8・15が表に出てきたか。佐藤卓己著「八月十五日の神話」に詳しい。1945年8月10日未明の御前会議でポツダム宣言受諾が決まり、日本放送協会と同盟通信社が海外に伝えた。国際的に重要な正式受諾は14日。15日は天皇が国民向けにラジオ放送した日でしかない
▼戦後数年間は全国紙で「9・2降伏記念日」が報じられていたが、55年ごろから「8・15終戦の日」報道が定着したという
▼8月15日が公式に終戦記念日となったのは、戦後18年たった63年5月、池田内閣での閣議決定だ。この年から毎年8月15日に全国戦没者追悼式が行われるようになった。「降伏」の屈辱から目を背け、記憶の選択と忘却が進んだ。「敗戦」を「終戦」にすり替えた意識とも重なる
▼8・15は国民にとって都合よく後付けでつくられた日と言えようか。自国中心主義から離れて、歴史を冷静に多角的に見直す。それが、いつか来た道を防ぐことにもつながる。