琉球新報社 イギリスのＥＵ（欧州連合）離脱は是か非か。ゲーム「ポケモンＧＯ」利用の是非は。生徒が賛否に分かれ、主張の根拠を示しながら討論するディベート授業が沖縄市立美東中学校で活発だ
▼ポケモンＧＯの討論では、こんな意見があった。「引きこもりの人が外出するきっかけになる」。屋外に出てポケモンを探したり、戦ったりするゲームには、そんな長所もあると気付かされる
▼討論を通してコミュニケーション能力を高める授業が盛んになっている。背景には学力観の変化がある。従来の知識偏重から「生きる知恵」へ。ディベートは直面する問題の長所短所を掘り下げ、多様な思考力を養う
▼知識や情報は、今やインターネット上で共有化が進む。国内外の大学の授業は公開され、スマホで言葉を検索すれば、瞬時に定義や回答が得られる
▼こうした共有知識を、社会でどう使いこなせるか。それが次代に求められる学力観として県内でも教師の研修が行われている。論理的思考力やコミュニケーション能力という「地頭（じあたま）」を試す大学入試改革や就職活動をも見据える
▼ポケモンＧＯは夢中になるあまり事故に遭う危険も指摘されている。長短あり、正解のない問題にどう社会と折り合いをつけて柔軟に解決へ導くか。生徒だけの問題ではない。多様な価値感を認め合う社会では大人も地頭を鍛える時代である。
