<金口木舌>統一地方選まで1年


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 古代ギリシャの都市アテネでは市民が集会に参加して意思表示し、政策を進めた。直接民主制である。現代日本では考えられないと思っていた

▼選ばれた代表によって行う間接民主制と対をなす、としている辞書もある。議会が置けなければ、せざるを得ない、というわけだ。高知県大川村の村長が実施を検討すると一時表明し、話題を集めた
▼予算案を組んでも通す議会がなければ執行できない。村当局でなくても切実な問題だ。村人口は約400人。高齢化などによって2年後の改選で議員のなり手が足りなくなる可能性のあることが検討した理由だ
▼沖縄県内でも、町村議員経験者に聞くと、若手の候補者を見付けるのが難しくなっているという。多数決で進める世界で「個々の貢献度、やりがいを見いだしにくいのでは」と話す。20万円台前半の月額報酬を挙げ「志があっても、ためらう人もいる」という声も
▼県内41市町村議会のうち、1年後の9月に28議会が任期満了を迎える。来年の今頃、いわゆる統一地方選が実施されるだろう。関連する報道も増えていく
▼誰もが暮らしやすい社会の実現に向け、議会の役割は増しているはずだ。重要性、可能性を有権者に認識してもらえるかも大事だろう。あと1年。有権者としては、他でもない、私たちの代表を選ぶ意味をじっくりと考えることのできる時間でもある。