<金口木舌>心の火災は消せない

 「米軍機か?」「場所は?」「けが人は?」。名護市安部のオスプレイ墜落事故から1年もたたないうちに、まさかまた、こんな会話をするとは思わなかった

▼11日、米軍ヘリが東村高江の牧草地に不時着し、炎上した。幸いけが人はいなかったものの、黒煙が上がる中、何度も爆発音を聞いた住民の恐怖は計り知れない。「もう少しで死んでいた」との言葉が心情を物語る
▼安倍晋三首相は事故の一報を受け、米側への対応を指示した。衆院選を目前にしたテレビ出演で、事故への“迅速な対応”を演出する一方、米軍北部訓練場の過半返還や辺野古新基地建設を「負担軽減」だと強調した
▼だが、過半返還の条件として集落の近くにヘリ着陸帯を集約した結果、住民の頭上をヘリが行き来する状態は「負担軽減」と言えるのか。住宅地から数百メートルの場所で炎上事故が起きたことを、首相はどう捉えているのか
▼コザ市長を務めた大山朝常さんは、米軍による人権侵害に市民が怒りを爆発させたコザ騒動を後に振り返りこう述べた。「中の町に集まった人々の気持ちが爆発して燃えたのだ。人間の心の火災だから水では消せない」
▼高江のヘリ火災は、約3時間後に鎮火した。しかし相次ぐ米軍機事故に県民の憤りは募るばかりだ。首相は火消しに躍起だが、これまで何度も爆発した県民の怒りの炎は見えているだろうか。