<金口木舌>あの世界的なブランドでもセクハラが...


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 スポーツ用品大手ナイキで、女性社員に対するセクハラや差別が明らかになり、経営幹部が相次いで辞任する事態が起こっている

▼ニューヨーク・タイムズによると、8日までに11人が退任。次の最高経営責任者(CEO)と目された男性幹部やグローバル事業を手掛ける幹部も含まれる
▼きっかけは、被害を受けた女性たちが人事部に頼れないと自主的に調査し、マーク・パーカーCEOに直訴したこと。社内調査を行い、パーカー氏は差別的な企業文化や職場内の「声」を受け止めなかったことの責任を全社員に謝罪した。どこかの国の財務相とは大違いだ
▼皮肉にもナイキは昨年、他社に後れを取るヨガやフィットネスなど女性用ウエアへの投資で収益拡大を目指すと発表したばかり。デザインや肌触り、機能性。女性の「声」を商品開発と価値の創出につなげるはずだった
▼同質的な組織はイノベーションが起こりにくい上、リスク管理に弱いとの指摘もある。男性優位の企業文化を露呈した世界的ブランドが対策に乗り出したのは、セクハラが組織の成長の敵であり、多様性と人権重視が市場に求められていると知ってこそだろう
▼商品開発も職場環境も違う視点に立つことで見えることがある。大切なのは相手の「声」を聞くことから。「何がセクハラになるか不安」と思う男性は、まず隣の女性の声を聞いてみてはいかが。