<金口木舌>用意が十分であれば、万が一の事・・・


社会
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 用意が十分であれば、万が一の事態でも心配することはない。「備えあれば憂いなし」だが、「備え」が使いものにならないなら「無用の長物」となる

▼今月、沖縄本島北部のやんばるの山林をトレッキングした。エコツーリズムのガイドらが新たなコースを下見すると聞き、同行取材した。ここぞとばかり、靴箱の奥に眠っていたブーツを履いた
▼登山中に突然、両方の靴底がはがれた。ひもで縛って応急処置したものの、急斜面を上り下りする度に緩み、はがれることの繰り返し。妙な力が入ったせいか両足はけいれんし、周囲の支えがないと歩けなくなった。下山できるのかと不安になった
▼国頭、大宜味、東の3村の一部が国立公園に指定後、やんばるの山では遭難が相次ぐ。2015、16年度は0件だったが、17年度は13件と多発。遭難者のほとんどが初めて訪れた人だ。統計とは別に地元住民でも迷い、ガイドが滑落したとも聞いた
▼土地勘の乏しさ以外に、装備のトラブルなどが不測の事態を招く。今回靴底がはがれた原因は劣化だ。同行取材した複数のガイドが同じ経験を語っていた
▼いざ使おうとしたら古くて壊れていた。人命が関わる場合、笑い話では済まされない。台風6号も直撃する見込みだ。身の回りの防災、救命器具などは正しく機能するのか。定期的に確かめよう。確認はわずかな時間で済む。