<金口木舌>紙の利点


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 東京駅から茨城・水戸駅まで約2時間の高速バス。乗車すると好きな漫画が1冊もらえるキャンペーンが月末まで行われている。大量の漫画をバスに載せているのではなく、電子書籍だ

▼本や音楽の配信業務などを行うエムティーアイと茨城交通が提携して行っている。乗車中の約2時間で1冊読める。いい時間つぶしになる。目の付け所はいいかもしれない
▼読書は専ら「紙の本派」だったが最近、電子書籍にも手を出した。いつでもどこでも本が購入できるのはうれしい。値段も比較的安価で、かさばらないから保管場所にも困らない。他方、紙派からすると、欠点も多く目につく
▼読んだ後に記憶に残りにくいと感じてしまうのは痛い。本の重さ、装丁、紙の手触り、匂いなども含めて内容を記憶することもあるだろう。読むのを途中でやめると、紙の本のように視覚に訴えてこないため、読んでいたことを忘れたりする
▼「紙の本派」にとどまらず県民にはうれしいニュースだろう。那覇市泉崎の複合施設「カフーナ旭橋」に新県立図書館の開館準備が順調に進んでいる。広さはこれまでの図書館の2倍で、自由に手に取れる本は3倍近い30万冊になる
▼開館時間も平日は1時間、土日は3時間拡充される。ずらりと並んだ本を実際に手に取って内容を確かめられるのも紙の本ならでは。12月の開館が楽しみだ。