<金口木舌>生物多様性壊す埋め立て


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 「珍しい猿だ」と思ったらアライグマ科の珍獣だった。名護自然動植物公園「ネオパークオキナワ」で公開が始まったキンカジューのことだ。愛嬌(あいきょう)のある顔で人気者になるだろう

▼沖縄美ら海水族館はジャイアントマンタ(オニイトマキエイ)の飼育と展示に世界で初めて成功した。運搬や水槽での飼育には多くの努力と苦労があったと思われる。これまでもサメの仲間、ツマジロの飼育やジンベエザメの同時飼育など難しいとされてきた生物の展示に成功してきた
▼ジャイアントマンタは読谷村の定置網に掛かっているところを発見された。外洋性で、沖縄沿岸での発見例は少ない。他方、生態系に影響を与える可能性があるため、侵入してほしくない生物もいる
▼11月29日付本紙は、侵略的外来種とされるつる性の植物「ツルヒヨドリ」が名護市街地で確認されたことを報じた。農作物への被害も懸念されており、防除などの対策が急がれる
▼環境省の「海洋生物多様性保全戦略公式サイト」は、人間が海の生物多様性に損失をもたらす要因の一つに「外来種」を挙げる。だが1番目に指摘しているのは沿岸環境の「物理的改変」だ
▼中でも埋め立てによる悪影響は甚大で取り返しがつかない。圧倒的多数が反対する中で、生態系の宝庫である海が破壊されようとしている。あまりにも野蛮な振る舞いではないか。