<金口木舌>猫の気持ちになって


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 「家族だと思ってたんだけどニャー」。森に捨てられた猫がつぶやく。県の「一生うちの子プロジェクト」で放送されたコマーシャルだ。県はペットの飼い主に終生飼養や鑑札などを使った飼い主の明示などを求めている

▼県内の猫の殺処分数は2017年度、1056頭。16年度の759頭から大幅に増えた。犬の殺処分数が減っているのとは対照的だ。動物愛護管理センターなどから犬や猫を保護するボランティア団体も負担を強いられている
▼猫などを捨てたり虐待したりするのは動物愛護法で禁じられている。福島県で今月、猫2匹を水路に投げ込んだとして男性が逮捕された。昨年12月には名古屋市営住宅で不衛生な環境で約40匹の猫を飼育したとして、女性2人が略式起訴されている
▼飼い主がいない猫に不妊去勢手術を施し、地域で管理する「地域猫活動」に取り組む人々もいる。ただ活動には地域住民の理解が不可欠だ
▼ペットフード協会の全国犬猫飼育実態調査で猫の推定飼育数は18年、約964万9千匹。前年比約12万3千匹の増で17年に続いて犬を上回った。猫は最もメジャーなペットになったが、捨てられて殺処分される猫や虐待される猫は多い
▼きょうは猫の日。人間と猫が家族、隣人として共生できる社会をどうつくるのか。人間の都合で命を振り回される猫の気持ちになって考えることだ。