3年前のきょう、県内病院の待合室にいた。妻の開頭手術が十数時間に及んでいた。見ていたテレビの番組内容が突然切り替わった。熊本地震を伝えるニュースだ
▼午後9時26分、最大で震度7の揺れが熊本地方を襲った。28時間後、本震が起きた。地震で建物の下敷きになったり、体調を崩したりして273人が亡くなった
▼病院には自力で避難できない要救助者が多い。妻の手術中、もしも地震が起きていたら。熊本で手術中に被災した人がいたならば無事だろうか。集中治療室に移され、頭に管が入っている妻を見守りながら不安が膨らんだ
▼4歳の宮崎花梨さんは心臓病を患い、手術後の合併症で熊本市内に入院していた。地震発生時は集中治療室にいた。倒壊の恐れがあるとして、救急車で2時間をかけて福岡市内へ転院した。本震から5日後、容体が悪化し亡くなった
▼熊本地震や東日本大震災では、被災した病院が使えない事例が続出した。災害時に医療活動を続けるための事業継続計画(BCP)について、厚生労働省は全国の災害拠点病院に2019年3月までの整備を義務付けた。沖縄では全13施設が整備済みで、その実効性が求められる
▼熊本地震の震災関連死は直接死の4倍に上る。命を守る拠点だからこそ機能が低下してはならない。悲劇を繰り返さず教訓を生かして。宮崎さんら遺族の願いだ。