<金口木舌>方便でなく、できること


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 清明祭の時季、本島北部の道路は帰省者で混雑する。10連休は行楽客による渋滞も予想される。一方、平日の交通量は中南部と比べて少ない。特に国頭、大宜味、東の3村の基幹道路は閑散としている

▼国頭村宜名真の風物詩といえばフーヌイユ。塩漬けした魚、シイラを日干しする。昨秋のフーヌイユまつりは買い物客でにぎわい、那覇から訪れた知人にもばったり会った。道路は渋滞した
▼4月から宜名真にある北国小学校は休校となった。村内の佐手小も休校し、両校の児童8人は辺土名小に通学する。村によると、「児童数が多い環境で勉強させたい」と保護者の要望があった。社会に羽ばたく子を思う親心は察するに余りある
▼過疎に直面する人々は一過性でない定住策を切に望む。休校に伴い、宜名真では引っ越しした子育て世帯があった。住民から「子どもたちの声が聞こえない」とさみしがる声も漏れた
▼衆院沖縄3区は人口が密集する中部、過疎に悩む北部から成る。名護市辺野古への新基地建設を最大の争点とした補欠選挙が投開票され、無所属新人の屋良朝博さんが当選した
▼開票前、宜名真の山入端立全区長は「当選のための方便でなく、できることに取り組んで」と願った。託された思いは百票百様。一つでも実現するために序盤から全力疾走を。有権者の暮らしを踏まえてこそ政治は存在する。