<金口木舌>共鳴する感性


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 きょうから「こどもの読書週間」が始まった。いまも親子が手に取ることが多い「クマのプーさん」を翻訳した児童文学者の石井桃子さんは「こども時代を楽しんで」と児童らへの言葉を残した

▼感受性を育む大切さを言ったのだろう。「おとなになってから、老人になってから、あなたを支えてくれるのはこども時代の『あなた』です」と続く。生物学者のレイチェル・カーソンは驚きや感激で得る生涯消えない感性を「センス・オブ・ワンダー」と呼んだ
▼この言葉に由来する沖縄こどもの国のワンダーミュージアムが開館15周年を迎えた。感受性を刺激する展示やワークショップを催してきた。お化けを考案する「おばけせいさくじょ」など特徴ある企画が年間いくつもある
▼「こんなに楽しい場所をつくってくれてありがとう」。初代館長だった屋比久功さんは、見ず知らずの子どもに突然話し掛けられたことが忘れられずにいる。あまりに深く感動したからだ
▼子どもたちが見せる素直な反応は、今もミュージアム職員の原動力になっている。朝礼では「子どもたちと共に知恵と感性を磨く」などとするミュージアムの使命を確認するそうだ
▼私たちは子どもの感受性に共鳴できるだろうか。きょうは「世界 本の日」でもある。本に限らず、映画や音楽など、心の滋養になる作品に触れるきっかけにしてはどうだろう。