<金口木舌>「はいさい」の後が続かない


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 公の場でのあいさつやプライベートの会話で「はいさーい」というしまくとぅばを耳にすることが増えた。個人的なメールのやりとりでも「はいさい」「はいたい」の文字を見ることは多い

▼亡くなった翁長雄志知事が那覇市長時代に提唱した「ハイサイ・ハイタイ運動」の功績もあろう。あいさつの冒頭でしまくとぅばを用いることがすっかり定着したようだ。でも、喜んでばかりもおれない
▼県の「しまくとぅば県民意識調査」によると、しまくとぅばを主に使う人は6・1%で、共通語と同じくらい使う人は18・7%。あいさつ程度は25%という。残りの50・2%はしまくとぅばを使わない
▼しまくとぅばは必要と思っている人は8割近くもいる。学校や地域単位のしまくとぅば継承の取り組みの効果だろうが、会話力は十分に育っていない。どうにかならないか。しまくとぅばを愛した翁長さんも存命なら落胆するだろう
▼しまくとぅばのあいさつが定着しているならば、そこを生かしたい。「はいさい」の後が続かないのではもったいない。こつこつ単語を覚え、恥ずかしがらずに使っていくことだ
▼とはいうものの、堅苦しい勉強では長続きはしない。暮らしの中で生きた言葉に触れよう。歌詞カードを見ながら沖縄民謡を聞くのもいい。当方、目下実践中。教材は古いレコードに収められた「浜のアーマン小」だ。