<金口木舌>挑戦


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 水泳、バイク(自転車)、マラソンの3種目で競うトライアスロン。ハードな鉄人レースに、全盲の大久保篤志さん(47)が挑んでいる。トライアスロン歴15年でガイドを務める齋藤譲二さん(44)との二人三脚だ

▼10代はバレーボールと格闘技、20代はオートバイを楽しんだ。もともと運動が好きだった。難病のベーチェット病を患い、30歳で完全に視力を失う
▼でも諦めなかった。「見えないから楽しめない、ということを少なくしたい」。体力づくりでヨガを始め、水泳、マラソンと競技が広がり、県代表として県外の大会にも出場する
▼初めて会った2017年5月の久米島トライアスロンではラン、バイク、マラソンを障がいのある3人で分担し「チームCAN」で出場。「単独でトライアスロンに挑戦したい」と目標を語った
▼あれから2年足らず。4月に石垣島、5月に横浜大会を完走した。「障がいがあっても運動を楽しんでいる。成長を感じながら体が動く限り続けたい」。7月にはあやはし大会に出場するという
▼県内では障がいのある人が出場できるスポーツ大会は少なく、主催者と交渉して挑戦の場を切り開いている。スポーツへの熱い思いに障がいの有無は関係ない。大会参加は、皆が障がいを理解する機会にもなる。来年は東京パラリンピックが開催される。県内でも障がい者が参加できる大会の拡充は急務だ。